トロン住宅プロジェクト

デジタル社会到来を予測し、人間の居住施設の最小単位である「戸建住宅」に、コンピュータを導入するとどうなるのか、実験プロジェクトを創案、そのケーススタディとして、日本で唯一開発され公開されたOS「TRON」の開発者である坂村健氏と共同で、コンピュータハウス、「トロン電脳住宅」を企画開発。(1995)

当時は、随所に埋め込む予定のマイクロシップが未開発だったため、キッチンセット、トイレ、浴槽などの設備の制御の開発や、住宅全体を制御できるソフトウェアの開発までは出来ませんでした。とくに収納関連のコンピュータ制御や防犯、危機管理、環境制御等の制御システムの開発までは予算と開発機関の制約から挑戦できませんでした。

2010年以降、或は次の10年間では、センサー技術や電子認証技術、電子タグ技術、ネットワーク技術などのデジタル技術が発達し、さらにコンピュータ制御が安価で住宅に採用可能となれば、住宅へのコンピュータ制御技術は一気に普及することを確信しました。このプロジェクトから、ハードウェアとしての住宅、住む居住者、そして頭脳となるコンピュータの三者の相互関係が明確になったことは大きな成果と考えています。

今後の先端的住宅の姿は、コンピュータ技術、材料科学、植物科学、生物科学、環境科学等から成熟した技術を導入しながら、地球環境維持の要となる土壌、植生、水、空気、といった地球を構成する基本エレメントを痛めずに、人間が今以上に快適に生活する姿を模索しながら発展します。この模索の中から、明確な解決策を開発し社会に提示した企業が急成長するでしょう。中小企業にも多くの挑戦機会が与えられ、成功する事業分野です。